○吉野川市文化財保護条例

平成16年10月1日

条例第116号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 文化財保護審議会(第4条―第9条)

第3章 指定及び選定並びに解除(第10条―第12条)

第4章 管理、保存及び公開(第13条―第31条)

第5章 補則(第32条)

第6章 罰則(第33条―第36条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、吉野川市内に所在する文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第3条 吉野川市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第2章 文化財保護審議会

(設置)

第4条 教育委員会に吉野川市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第5条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、これらの事項に関して教育委員会に建議する。

(組織)

第6条 審議会は、委員11人以内で組織する。

2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

3 委員及び臨時委員は、学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうちから、教育委員会が委嘱する。

4 委員の任期は、2年とし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終わったときは、退任するものとする。

6 委員及び臨時委員は、非常勤とする。

(会長及び副会長)

第7条 審議会に、会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員が互選する。

3 会長は、審議会の会務を総理する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理する。

(議事)

第8条 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、議事を開き議決をすることができない。

2 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(庶務)

第9条 審議会の庶務は、教育委員会生涯学習課において処理する。

第3章 指定及び選定並びに解除

(指定)

第10条 教育委員会は、市内に存する文化財(法及び県条例により指定された文化財を除く。)のうち重要なものを、次の各号のいずれかに指定することができる。

(1) 吉野川市指定有形文化財

(2) 吉野川市指定無形文化財

(3) 吉野川市指定有形民俗文化財

(4) 吉野川市指定無形民俗文化財

(5) 吉野川市指定史跡名勝天然記念物

2 前項の規定による指定のうち、同項第1号第3号及び第5号の場合には、あらかじめ当該指定文化財の所有者及び権限に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権限に基づく占有者が判明しない場合を除く。

3 第1項の規定による指定のうち、同項第2号の場合には、当該指定文化財の保持者又は保持団体(無形の文化財を保持又は保存する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

4 教育委員会は、第1項第2号の指定をした後においても、当該文化財の保持者又は保存団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保存団体として追加認定することができる。

5 第1項の規定による指定又は第3項の規定による認定若しくは第4項の規定による追加認定をするには、教育委員会は、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。

6 第1項の規定による指定又は第3項の規定による認定若しくは第4項の規定による追加認定は、その旨を告示するとともに、当該文化財の所有者及び権限に基づく占有者又は保持者(保持団体にあっては、その代表者)に通告してする。

7 第1項の規定による指定又は第3項の規定による認定若しくは第4項の規定による追加認定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

8 第1項第1号第3号又は第5号の規定による指定をしたときは、当該指定文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

(選定)

第11条 教育委員会は、市内に存する伝統的な技術又は技能で、文化財の保存のために欠くことのできないもの(法又は県条例により選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち市として保存の措置を講ずる必要があるものを吉野川市選定保存技術として選定することができる。

2 前項の規定による選定には、前条第3項から第7項までの規定を準用する。

(解除)

第12条 市指定の文化財又は選定保存技術が指定としての価値を失した場合、その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定又は選定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保存団体がその構成員の異動のため適当でなくなったと認められる場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定若しくは選定の解除又は前項の規定による認定の解除には、前条第5項から第7項までの規定を準用する。

4 市指定の文化財又は選定保存技術が法又は県条例による指定又は選定があったときは、市の指定又は選定は解除されたものとする。

5 前項の場合には、第10条第6項及び第7項の規定を準用する。

6 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡し保持団体のすべてが解散したときは、市指定の文化財又は選定保存技術の選定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

第4章 管理、保存及び公開

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第13条 市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財並びに市指定史跡名勝天然記念物の所有者は、この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定の文化財を管理しなければならない。

2 市指定有形文化財及び市指定有形民俗文化財並びに市指定史跡名勝天然記念物の所有者は、特別の事情があるときは、自己に代わり市指定の文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。

4 管理責任者については、第1項の規定を準用する。

(標識等の設置)

第14条 市指定史跡名勝天然記念物について、教育委員会は、所有者の同意を得て、管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

(所有者の変更等)

第15条 市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、損傷等)

第16条 市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第17条 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

(保持者の氏名変更等)

第18条 市指定文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。

(土地の所在等の異動の届出)

第19条 市指定史跡名勝天然記念物の指定地区内の土地についての地番、地目又は地積に異動があったときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

(管理又は修理の補助)

第20条 市指定文化財の管理又は修理について多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合、その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは当該管理又は修理について指揮監督することができる。

(補助金の返還等)

第21条 前条第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者に対し既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理に関し条例、規則又は教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。

(管理又は修理に関する勧告)

第22条 市指定文化財の管理が適当でないため、当該指定文化財が滅失し、損傷し、又は盗み取られるおそれがあると認められるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 市指定文化財が損傷している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者に対しその修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 前項の規定により市が全部又は一部を負担する場合には、第20条第2項及び前条の規定を準用する。

(有償譲渡の場合の納付金)

第23条 市が修理又は管理に関し必要な措置(以下この条において「修理等」という。)につき、第20条第1項の規定により費用を負担した市指定文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者(以下この条において「所有者等」という。)は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後市指定の文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該修理等が行われた後修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額を市に納付しなければならない。

2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る修理等を施した市指定文化財につき教育委員会が定める耐用年数で除して得た金類に、更に、当該耐用年数から修理等を行った時以後市指定の文化財の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。

(現状変更等の制限)

第24条 市指定文化財に関してその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合で、保存に及ぼす影響が軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合においては、その許可の条件として同項の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

(修理の届出等)

第25条 市指定文化財を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第20条第1項の規定による補助金の交付、第22条第1項の規定による勧告又は前条第1項の規定による許可を受けて修理を行う場合は、この限りでない。

2 市指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。

(無形文化財等の保存)

第26条 教育委員会は、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財若しくは市選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、これらについて自から記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第20条第2項及び第21条の規定を準用する。

(市指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)

第27条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、公開することができるものとし、市は、適当な者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定による選択には、第10条第5項の規定を準用する。

3 第1項の規定により補助金を交付する場合には、第20条第2項及び第21条の規定を準用する。

(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)

第28条 教育委員会は、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のために必要な助言又は勧告をすることができる。

(公開)

第29条 教育委員会は、市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財の所有者に対し、6月以内の期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該市指定文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財の所有者に対し、3月以内の期限を限って公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用は、市の負担とし、前項の規定による出品のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 教育委員会は、第1項の規定により当該文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。

5 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、指揮監督することができる。

6 第1項又は第2項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該文化財が滅失し、又は損傷したときは、市は、所有者に対し、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。

7 第2項の規定による公開の場合を除き、市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため第17条の規定による届出があった場合には、第5項の規定を準用する。

8 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し当該文化財の公開を、市指定無形文化財又は市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対しその公開を勧告することができる。

9 前項の規定による市指定無形文化財の公開には、第3項及び第5項の規定を準用する。

10 市は、第8項の規定による当該文化財の記録の公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

11 前項の規定により補助金を交付する場合には、第20条第2項及び第21条の規定を準用する。

(調査)

第30条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第31条 市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該町指定文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。

第5章 補則

(委任)

第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

第6章 罰則

第33条 市指定文化財を損壊し、き損し、又は穏匿した者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

第34条 市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、損傷し、又は衰亡するに至らしめた者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

第35条 第25条の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、市指定の文化財の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、1万円以下の罰金又は科料に処する。

第36条 法人の代表者又は法人若しくは代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前3条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し各本来の罰金又は科料刑を処する。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の鴨島町文化財保護条例(昭和51年鴨島町条例第7号)、川島町文化財保護条例(昭和51年川島町条例第16号)、山川町文化財保護条例(昭和51年山川町条例第19号)又は美郷村文化財保護条例(昭和52年美郷村条例第10号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 この条例の施行の日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお、合併前の条例の例による。

(平成18年6月28日条例第26号)

この条例は、公布の日から施行する。

吉野川市文化財保護条例

平成16年10月1日 条例第116号

(平成18年6月28日施行)

体系情報
第7編 育/第5章 文化財
沿革情報
平成16年10月1日 条例第116号
平成18年6月28日 条例第26号