○吉野川市中小企業者、小規模企業者及び小企業者の振興に関する基本条例

平成31年3月19日

条例第6号

吉野川市は、徳島県北部のほぼ中央に位置し、南部には霊峰「高越山」をはじめ急峻な山々が連なり、北部には四国三郎「吉野川」が流れ、ホタルやツツジの大群生など四季折々の豊かな自然が息づいているまちである。古くは藍商や製糸業、鉱山業、和紙を始めとする伝統産業など多様な産業が発展してきた。このような中で、市内企業の大多数を占める中小企業者等は、地域の発展と共に育ち、地域経済と雇用を支えるとともに、その企業活動を通じて地域社会や市民生活の向上に貢献する役割を担ってきた。

しかし、少子高齢化や人口減少、グローバル経済の進展に伴う競争の激化等により中小企業者等を取り巻く環境は厳しさを増し、設備の老朽化や後継者不足など多くの問題に直面している。さらに、本市においては、全国を上回るペースで人口、出生率及び生産年齢人口が減少傾向にある。

このような状況の中、人口減少に歯止めをかけ、吉野川市が将来にわたり、活気と魅力あるまちとして継続的に発展していくためには、中小企業者等の多様で活力ある成長が図られるよう支援していく必要がある。

ここに、中小企業者等の振興を市政の重要施策の一つとして位置づけ、厳しさを増している状況の中でも、地域社会が一体となって、効率的かつ効果的に中小企業者等の振興に取り組むため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業者、小規模企業者及び小企業者(以下「中小企業者等」という。)の振興に関する基本理念及び市の施策の基本となる事項を定め、市の責務及び中小企業者等の役割を明らかにすることにより、中小企業者等の振興に関する施策を地域社会が一体となって推進し、もって地域経済の健全な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げる中小企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 小企業者 小規模企業振興基本法(平成26年法律第94号)第2条第2項に規定する事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 産業経済団体 商工会議所、商工会、商店街連合会、事業協同組合、企業組合、農業協同組合、漁業協同組合その他の経済活動又は地域産業の振興を行う団体等であって、市内に事務所を有するものをいう。

(5) 大企業者 中小企業者等以外の事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(6) 金融機関 市内に所在する銀行、信用金庫その他の金融業を行うもの及び徳島県信用保証協会をいう。

(7) 教育機関等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、研究機関及び産業支援機関をいう。

(8) 市民 市内に住所を有する者及び市内に通勤し、又は通学している者をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業者等の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 中小企業者等の自らの創意工夫と自主的な努力により、その経営の改善及び向上が促進されること。

(2) 経済的環境及び社会的環境の変化への円滑な適応が図られるよう配慮すること。

(3) 地域経済の発展、雇用の確保及び市民生活の向上に資すること。

(4) 地域資源を活用した振興施策を推進し、市内の経済循環が促進されること。

(5) 市、中小企業者等、産業経済団体、大企業者、金融機関、教育機関等、市民その他の地域で関わる全ての者が相互に連携及び協働を推進することにより中小企業者等の事業展開が図られること。

(6) 市、中小企業者等、産業経済団体、大企業者、金融機関、教育機関等、市民その他の地域で関わる全ての者が相互に連携して推進されること。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念にのっとり、中小企業者等の振興に関する施策を策定し、実施するものとする。

2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、中小企業者等の実態を把握し、その意見の反映に努め、国、関係地方公共団体、中小企業者等、産業経済団体、大企業者、金融機関、教育機関等及び市民と連携して取り組むものとする。

3 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、市内の中小企業者等の受注機会の増大に努めるものとする。

(中小企業者等の役割)

第5条 中小企業者等は、自助努力と創意工夫により、公正で自由な競争を通じて事業の発展に努めるものとする。

2 中小企業者等は、地域社会を構成する一員であることを認識し、地域の発展及び活性化に寄与するよう努めるものとする。

3 中小企業者等は、事業活動を行うに当たり、市内における連携に配慮し、市内において生産され、製造され、又は加工される物品及び提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(産業経済団体の役割)

第6条 産業経済団体は、地域の中小企業者等の加入並びに各種事業者間の連携及び交流の推進に努めるものとする。

2 産業経済団体は、中小企業者等の事業活動を支援するとともに、市が行う中小企業者等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第7条 大企業者は、地域社会を構成する一員であることを認識し、中小企業者等との連携及び協力に努めるものとする。

2 大企業者は、事業活動を行うに当たり、市内における連携に配慮し、市内において生産され、製造され、又は加工される物品及び提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業者等が経営基盤の強化等に取り組むことができるよう、円滑な資金の供給及び経営改善に協力するよう努めるものとする。

2 金融機関は、市が実施する中小企業者等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育機関等の役割)

第9条 教育機関等は、教育機関等、市、中小企業者等及び金融機関が相互に連携を図ることが、中小企業者等の振興に資することに鑑み、市が実施する中小企業者等の振興に関する施策との連携に努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第10条 市民は、中小企業者等の振興が、地域経済の発展及び市民生活の向上につながることを理解し、中小企業者等の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、市内において生産され、製造され、又は加工される物品及び市内で提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第11条 市は、中小企業者等の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 経営の革新及び創業を促進すること。

(2) 販路の拡大を促進すること。

(3) 人材の育成、雇用の確保及び事業環境の整備を図ること。

(4) 円滑な事業継承を促進すること。

(5) 地域内の経済循環を促進すること。

(6) 小規模企業者及び小企業者の経営の状況及び成長発展の状況に応じ、十分な配慮がなされること。

(7) 中小企業者等の振興に関する市民の理解を深め、協力を促進すること。

(財政上の措置)

第12条 市は、中小企業者等の振興に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(児童及び生徒の職業意識の醸成等)

第13条 市は、児童及び生徒が、将来職業人として社会で活躍できるよう職業意識の醸成を促すとともに、教育機関等その他関係機関と連携を図りながら、職業に関する情報や、体験の機会の提供等を実施することにより、地域を担う人材の育成を推進し、市内への定住が図られるよう努めるものとする。

(協議の場の設置)

第14条 市は、この条例の目的の達成及び中小企業者等の振興に関する施策を推進するため、中小企業者等その他の関係者による協議の場を設置するものとする。

(実施状況の公表)

第15条 市は、毎年度、中小企業者等の振興に関する施策の実施状況を公表するものとする。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

吉野川市中小企業者、小規模企業者及び小企業者の振興に関する基本条例

平成31年3月19日 条例第6号

(平成31年4月1日施行)