○吉野川市債権管理条例
令和7年3月18日
条例第1号
(目的)
第1条 この条例は、市の債権の管理に関し必要な事項を定めることにより、債権の管理の適正化を図り、もって市の公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。
(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利(地方自治法(昭和22年法律第67号)第240条第4項第3号から第8号までに掲げるものを除く。)をいう。
(2) 公債権 市の債権のうち、消滅時効に係る時効期間が満了したときに時効の援用を要することなく消滅する債権をいう。
(3) 強制徴収公債権 公債権のうち、地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係るもの及び法令の規定に基づき国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができるものをいう。
(4) 非強制徴収公債権 公債権のうち、強制徴収公債権以外の債権をいう。
(5) 私債権 市の債権のうち、公債権以外の債権をいう。
(6) 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。
(7) 債権管理者 市長及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第7条の地方公営企業の管理者(同条ただし書の規定により管理者を置かない場合は、同法第8条第2項の規定によりその権限を行う市長)をいう。
(他の法令等との関係)
第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例若しくは規則等(地方公営企業法第10条に規定する企業管理規程を含む。次条において同じ。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(債権管理者の責務)
第4条 債権管理者は、法令又は条例若しくは規則等の定めるところにより、市の債権の適正な管理に努めなければならない。
(債務者等に関する情報の利用等)
第5条 債権管理者は、市の債権が履行期限までに履行されず、かつ、第7条から第16条まで(第9条を除く。)に規定する措置のいずれかをとるに当たって、市が保有する滞納者(市の債権に係る金銭債務を履行期限までに履行しない者をいう。以下同じ。)に関する情報を当該措置の判断に資する事項に限り、実施機関(吉野川市個人情報保護法施行条例(令和5年吉野川市条例第1号)第2条第1項に規定する実施機関をいう。)内部において利用することができる。
2 債権管理者は、前項の規定により滞納者に関する情報を利用する場合は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)その他法令の規定を遵守し、かつ、当該債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。
(督促)
第6条 債権管理者は、市の債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、法令の定めるところにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。
(滞納処分等)
第7条 債権管理者は、強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の執行の停止については、法令又は条例の規定によりこれを行わなければならない。
(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該非強制徴収債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
(履行期限の繰上げ)
第9条 債権管理者は、市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第12条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第10条 債権管理者は、市の債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。
2 前項に規定するもののほか、債権管理者は、市の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(徴収停止)
第11条 債権管理者は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
2 債権管理者は、前項の措置をとった後、事情の変更等によりその措置を維持することが不適当となったことを知ったときは、速やかに、その措置を取りやめなければならない。
(履行延期の特約等)
第12条 債権管理者は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分(以下「履行延期の特約等」という。)をすることができる。この場合において、当該非強制徴収債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
(3) 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
2 債権管理者は、履行期限後においても、前項の規定により履行延期の特約等をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅延に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る市の債権は、徴収すべきものとする。
(免除)
第13条 債権管理者は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約等をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約等をした場合は、最初に履行延期の特約等をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
(遅延損害金の徴収等)
第14条 債権管理者は、私債権について、履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、当該債権の金額につき民法(明治29年法律第89号)第404条に規定する法定利率の割合に乗じて計算した遅延損害金を加算して徴収するものとする。ただし、遅延損害金について、契約に別段の定めがある場合は、その定めるところによるものとする。
2 前項に規定する年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合とする。
3 債権管理者は、私債権について、履行期限までに納付しなかったことについてやむを得ない事由があると認める場合においては、当該私債権に係る遅延損害金を減額し、又は免除することができる。
(延滞金又は遅延損害金の端数計算)
第15条 延滞金額又は遅延損害金の計算の基礎となる未納金額に1,000円未満の端数があるときは、その端数金額を、未納金額の全額が2,000円未満であるときは、その全額を切り捨てて計算するものとする。
2 延滞金の確定金額に100円未満の端数があるときは、その端数を、延滞金又は遅延損害金の確定金額が1,000円未満であるときは、その全額を切り捨てるものとする。
(債権の放棄)
第16条 債権管理者は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を放棄することができる。
(1) 当該債権(消滅時効について時効の援用を要しないものを除く。)について、消滅時効に係る時効期間が経過したとき。
(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により、債務者が当該債権についてその責任を免れたとき。
(3) 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに当該債権に優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。
(4) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け、又はこれに準ずる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で、当該債権について履行の見込みがないと認められるとき。
(6) 第11条に規定する徴収停止の措置をとった当該債権について、当該措置をとった日から相当の期間を経過した後においてもなお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。
(7) 債務者が死亡、失踪、行方不明その他これらに準ずる事情にあり、当該債権について徴収できる見込みがないと認められるとき。
(議会への報告)
第17条 市長は、前条の規定により非強制徴収債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。